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4月19日(16Asia/Tokyo19) 痛恨の幕切れ

戦評

連夜の接戦を粘り強く戦った阪神だが、最後に痛恨のミスが出て惜しくも敗れた。

休養明けの福留が4番に復帰して通常の打線を組む阪神に対して、中日は不振の両外国人を中軸から外して大幅な打線改造を施した。阪神先発・秋山は初回一死から荒木・大島の長短打で2・3塁とされて4番 平田の左犠飛であっさり先制を許す。

秋山は立ち上がりから球に抑えが効かず、追い込みながらも痛打を浴びる場面も目立ったが、徐々に落ち着きを取り戻して行った。

中日の今季初先発左腕ジョーダンに対する阪神は2回表 二死から鳥谷・北條の連打で1・2塁とするが、8番 梅野が空振り三振に倒れて最初のチャンスを逃した。ジョーダンは持ち前のパワーピッチを軸にカットボールやチェンジアップで緩急をつける組み立てで序盤は危なげなく試合を進める。

5回表 阪神は先頭・鳥谷のヒットから四球・犠打・振り逃げで一死満塁とする。高山は浅い中飛に倒れたが、2番 上本が追い込まれてから粘りに粘ってフルカウントからの10球目を運んで右前へ2点適時安打。2対1と鮮やかに逆転する。阪神はジョーダンに対して5回で100球以上投げさせ降板に追い込んだ。ジョーダンにしてみれば、打たれる前に内角へ投げ込んだ会心の決め球を悉くストライクと言って貰えなかったのが不運だった。

「打ったのはストレート。秋山が頑張って投げている中だったし、みんなが必死に繋いで回って来た打席だったので、何とか走者を返す事が出来て良かった」。上本博紀内野手は、逆転打を振り返っている。

中日も6回裏 荒木・大島の連打で無死1・3塁として4番 平田・二ゴロ併殺打の間に同点に追いつく。秋山は6回(83球)まで投げて7安打4三振 無四球 2失点で交代する。

「全体的に変化球を上手く使って投げる事が出来たが、6回に先頭打者を出してしまった事と、同じ打者(荒木・大島)に3本ヒットを打たれたというところは、反省すべきポイント」。6回は最低限だったと語る秋山拓巳投手は残念そう。香田勲男投手コーチも、「どうしてもストライクを欲しがる。もう少しボール球とか、球数を使って行けたら・・。今日の状態なら、あそこまでかなぁ!」と秋山を評していた。

8回表 阪神は4番 福留の左中間二塁打から一死2・3塁の好機を掴み、7番 北條・三ゴロの間に勝ち越し点を奪う。しかし、その裏逃げ切りを図って登板したマテオが二死2塁から絶好調の3番 大島に左中間へ適時安打を運ばれて3対3となった。

9回表は中日・守護神の田島が締めて、その裏 阪神は4人目に松田を送る。先頭・堂上に左二塁打を許した阪神バッテリーは7番ビシエドを歩かせた後、木下拓に犠打を決められ一死2・3塁。このピンチを金本監督は左腕・高橋に託す。高橋は打者・亀澤を高め直球で遊飛に打ち取るが、1番ルーキー京田の強い三ゴロを鳥谷がファンブル。阪神の勝ちパターンが暗転して、4対3で中日に敗れた。

「(最後の場面は)しっかり捕って投げればアウトだった。(記録については)1日でも長く出たい気持ちはある。良い時も悪い時も支えてくれた人がいる。その意味では感謝している」。打っては2安打を含む全打席出塁の活躍も、日本歴代単独2位に立つ1767試合連続出場を果たした節目の試合で自ら悔しいサヨナラ負けの幕引き役を演じてしまった鳥谷 敬内野手だが、試合後の取材にはプロらしく真摯に対応した。

「接戦は接戦。こういう試合で勝てるようにしないと」。金本知憲監督は、惜敗に表情が歪む。「(マテオは左対策が必要だとキャンプから)言ってるけど、何かやらないとね。(リードを守れなかった秋山〜梅野の)バッテリーは一工夫して欲しかった」とディフェンス面への苦言が口をついた。

中継ぎでは7回を抑えた桑原の好投も光ったが、開幕2戦目(対広島・マツダ)以来 今季2度目のサヨナラ負け。結果的には好調な打者を上位に並べた中日の策が的中した。阪神にすれば、一度は終盤にリードを奪い逃げ切り体制に入っただけに何とも後味の悪い敗戦だが、接戦が多くなればこうした負けも幾つかは覚悟しなくてはなるまい。勝利には結びつかなかったが、8回表 福留の二塁打から進塁打を重ねて渋く奪った勝ち越し点の取り方などは今季特有のパターンとも言え、敗戦の中にもそれなりに収獲はあったと見たい。

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