スタンプ未押下

4月19日(JST12000000) 綱渡りの継投

戦評

共にミスが失点に結びつく展開の中、終盤小刻みな継投で1点差を守り切った阪神がナゴヤドームで連勝を飾った。

移籍後2戦目となる中日先発・松坂に対する阪神は、2番にメジャー経験のある西岡を起用する。中日は、1番に前日猛打賞2打点の亀澤。中軸は市民権取得手続の為渡米したビシエドと不振の平田が外れて、大島・アルモンテ・藤井でクリーンアップを組む思い切ったオーダーで阪神・小野に臨んだ。

初回は両チーム3者凡退も、2回表に阪神がロサリオ・死球と福留の右前安打の一死1・3塁から6番 糸原の中犠飛であっさりと先手を取る。金本監督は判断が難しい福留の打球で好走塁を見せたロサリオを讃えた。

糸原健斗内野手が振り返る。「打ったのはストレート。チャンスを作ってくれたので、犠牲フライでも1点という気持ちで打席に入ることが出来た。何としても先制点が欲しかったので、最低限のバッティングは出来たと思う」。

その裏 小野は四球とサード大山のエラーで一死2・3塁のピンチとなり、自らの暴投で1点を失った。時折力んで抜け球もあるものの、適度な荒れ具合で中日打線を6回まで2安打に抑え、試合を作った。

追いつかれた阪神は4回表 投ゴロ失策・四球とロサリオの右前安打で無死満塁として5番 福留・遊ゴロ併殺打の間に1点を取って再びリードを奪う。松坂は大量失点のピンチにも老練な投球で傷を最小限に食い止める好投。7回表には疲れも覗き二死満塁となったが、小野の代打・上本を空振り三振に斬って脱出した。

7回(123球)を投げて4安打2三振3四死球2失点(自責1)。松坂大輔投手は、「自分のエラーで2点目を許してしまった。悔いが残る」と振り返っている。金本知憲監督は、松坂に手を焼いた理由について次のように話した。「うーん、どうなんやろ? 球種が多いみたいやから、ちょっと絞りにくさとか、あったのかも分からんしね。適当に荒れてるし…」。

「味方が点を取ってくれた後に先頭を四球で出して追いつかれてしまった。悪いなりに最少失点でなんとか粘れて良かったけど、全体的にボール先行の投球となり球数が増えてしまったことが反省点。次回の登板に向けてしっかり調整して行く」。6回(101球)2安打 3三振 2四球 1失点。小野泰己投手は、課題を強く意識するコメントだった。

阪神は7回から岩崎〜マテオ〜高橋聡と細かく繋ぐ。8回裏二死2塁から3番大島の打球は浅めに守ったセンター後方を襲うが、この回から守備固めに入っていた俊介がダイビングで好捕する超美技に救われた。9回裏には、守護神ドリスが先頭アルモンテにストレートの四球を与えてしまうが、代走・工藤が牽制に飛び出しアウトになるミスに助けられて、阪神が何とか1点差を逃げ切った。

ヒーローインタビューは、2勝目を上げた小野泰己投手。「そこ(松坂投手との投げ合い)は意識せずに相手打者に集中して投げる事が出来た。今日は、しっかり真っ直ぐで押せていたピッチングだったかなと思う。チームが勝つのが一番。次の登板でも試合を作ってチームが勝てるように頑張る」と話している。

「まぁ、8回(一死、高橋)聡文の代わりっぱな。ドリスも代わりっぱな。四球って言うのがやっぱり…気をつけて欲しいネ、今後」。綱渡りの勝利に金本知憲監督は、苦言を呈する。回の途中で2度の交代という細かい継投だったが、「難しかったね。2人スイッチがいて、代打陣 どっちが来るのか?と言うところで…よく香田コーチが助けてくれた」と投手コーチを労った。

「貧打の試合。小野はしっかり投げてたけど、打てそうで打てない。点取れそうで取れない!と言うところで勝てたという…そう言う点では、まぁ良かったんじゃないかな?と思うね。全然不満足な勝ちだけど(昨日も言ったが)勝ちは勝ちで、しっかりと喜ぼう!って事なのね、今年は」。内容には納得出来ずとも、指揮官は結果として勝ち切った事を評価する。

反省点満載とはいえ、これで3連勝。チームに地力がついているのは確かだろう。猛虎たちは甲子園に戻って、今度は宿敵・巨人を迎え撃つ。

戦評一覧へ戻る

MENU

  • 虎魂

モバイル