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10月2日(JST000000Asia/Tokyo) 『最高の岩田』援護出来ず

戦評

今季最高の出来だったベテラン左腕の好投に若手中心の打線が応えられず、阪神が僅か1点に泣いた。

今季限りでの退団が明らかになった西岡 剛内野手もベンチ入りするマツダスタジアム。広島先発・ジョンソンに対する阪神は2番 植田・・・5番 陽川、6番ナバーロ、7番 梅野の後 8番センターにはルーキー島田をプロ初スタメンで起用する。ジョンソンは立ち上がりから安定した内容でゼロを重ねていく。阪神は、時々走者を出すもなかなかチャンスを広げる事が出来ない。5回表には一死1塁で8番 島田のセカンドライナーに走者・梅野が戻り切れず併殺となるミスもあった。

阪神は、岩田が8月19日ヤクルト戦(神宮)以来の先発マウンド。初回先頭 田中の四球・盗塁と丸の振り逃げで一死1・3塁となるが、4番 鈴木を三直、5番 バティスタも三ゴロに打ち取る。その後は、岩田の投球が冴えに冴えた。低めの変化球が有効で広島の強力な打線を5回までノーヒットに抑え込む。

6回表 阪神は二死から植田が左前安打と盗塁。福留もセカンド内野安打で1・3塁と先制機を作る。4番 大山に大きな期待がかかるも右飛に倒れてチャンスを逃した。するとその裏 岩田は二死を取るも3番 丸に低めを上手く運ばれてセンター左へ運ぶセ・リーグ本塁打王争い単独トップに立つ39号ソロを浴びてしまう。これが広島の初安打であった。

間違いなく今季一番の投球内容だった岩田だが、この一発に沈んだ。7回(122球)まで投げて 3安打 8三振 3四球 1失点。「良い勝負は出来たと思うけど、(何としても)勝たなくてはいけなかった!」。岩田 稔投手の偽らざる心境だろう。

阪神は8回表 先頭・岩田に代打で鳥谷を送る。広島2人目・ヘルウェグから鳥谷は遊撃内野安打を放って通算2064安打!生え抜きでは阪神球団史上1位・藤田 平氏の偉大な数字に並んだ。しかし、その後 1番 糸原は送りバントを失敗した挙句、フルカウントから見逃し三振。リクエストによるリプレー検証でスタートを切っていた鳥谷も盗塁失敗となって、終盤の反撃機を逃した。

結局、最後も広島の守護神・中崎に抑えられて試合終了。1対0と阪神は投手戦で苦杯をなめている。思い切って経験の少ない若手を抜擢して苦境打開を図ったが、結果としては裏目となった。7安打とヒット数では相手を上回りながらも 打線は2戦連続の完封負けで、21イニング連続無得点と全く元気がない。

「うーん、まぁ、経験の無さが出たりとか。まぁ、ありましたね、いろいろ。… だから、走っても見逃しとかね。それも経験不足かな?と感じましたね」。金本知憲監督は、点が取れない打線を嘆いた。「岩田は、もう最高のピッチングを見せてくれて。本塁打も失投では無いし…ナイスピッチングだったけどね」。やり切れない思いを滲ませながらも、冷静に試合を振り返っていた姿が、非常に辛そうだった。

勝利に結びつくヒットにはならなかったものの球団通算最多安打タイを記録した鳥谷 敬内野手は、「(特にこの記録を)目指している訳じゃないし、打てるとも思っていなかったけど、嬉しい」と控えめに喜びを口にした。 2004年開幕から弛まぬ努力を積み重ねて来た結果打ち立てた金字塔に心から敬意を表したい。

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