先発左腕が立ち上がりに失点を重ねて早々と主導権を相手に握られた阪神が、そのままヤクルトの勢いに飲み込まれた。

日中は１０月とは思えない真夏日となった関東圏。神宮球場ナイトゲームは、ヤクルト・石川と阪神・岩貞の左腕対決となった。阪神は、前日のヒーロー島田を今夜も２番センターで起用。福留は休ませて、クリーンアップは陽川・大山・梅野。下位には、ナバーロ・中谷・植田と続く。

阪神先発・岩貞は立ち上がりから甘い球が目立つ。初回 坂口・山田哲の連打で無死１・２塁とされて３番バレンティンのライトへの適時二塁打で先制点を奪われる。続く雄平の右前適時安打と６番 西浦の右犠飛で１回裏に計３点を失った。

２回裏にも下位打線からチャンスを作られ、１番 坂口の遊ゴロでショート植田の本塁返球が僅かに逸れる間に三塁走者の生還を許す。（阪神のリクエストも判定覆らず。記録は野選）

その後は立ち直った岩貞だが、序盤の４失点が阪神に重くのしかかる。５回表は梅野・左前安打とナバーロ・四球で無死１・２塁と反撃機を作るが、７番 中谷が遊ゴロ併殺打に倒れるなど繋がりがない。その裏 ２人目・望月は３番バレンティンに右中間へ３７号ソロ本塁打を浴びて、ヤクルトに５点目が入った。７回裏にも阪神３人目・岩崎が二死２塁からまたもやバレンティンのこの試合３打点目となる中前適時安打でダメ押し点を許している。

阪神は走者を出しても策が限られ、内野ゴロ併殺打も３つを数えた。８回表には、ファーム日本一を決めた宮崎からこの日一軍に合流した板山が代打で登場して、セカンドゴロも一塁へ気合いのヘッドスライディング！ヤクルトからのリクエストも判定変わらず内野安打となるハッスルプレーで漸く阪神ファンが大喜びする場面が訪れる。一死後、代打・原口の良い当たりはレフト田代の美技に阻まれるが、１番 糸原はこの夜３安打目のヒットで意地を見せた。（得点には至らず）

ヤクルトは６回から大下〜近藤〜風張と繋いで完封リレーが完成。東京ヤクルトが６対０と阪神を下した。（ヤクルトは１０月に入って負けなしの５連勝）勝ちは５回無失点の先発左腕・石川。阪神・岩貞は４回（70球）６安打３三振１四球４失点で今季１０敗目を喫している。５安打の完敗…何とかしたいと言う思いがなかなか結果に現れないもどかしさが、引き上げて行く猛虎ナインを包む。

「うーん、（攻撃は）淡白には見えなかったけどね。（３併殺を喰らった事に関して）こりゃ、まぁ、しょうがないからね、もう。打たしてる訳ですから」。金本知憲監督は、とにかく自らの気持ちを鎮めるように話した。

「（岩貞の立ち上がりが痛い？）ですね。ヨーイドンで３点ですからね。（板山のような気持ちを出したプレーを他の選手にも期待したいが？）そうですね。若い選手が多いんだから。何とかする気持ちって言うか？もっとアピールしないとね。溌剌と。ギラギラしてプレーして欲しいですね。失敗はするスポーツですから、野球は。それを恐れず、もっとこう、アピールする姿を見たいんですけどね！」。最下位を免れる為にもう１敗も許されない状況にも、指揮官は懸命に若虎の奮起を促していた。