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10月5日(tham31) 北條ミラクル5打点 !世紀の大逆転勝利

戦評

中盤までに大差をつけられて敗色濃厚だった阪神が、終盤 代打攻勢からの集中打でひっくり返す大逆転劇の末 CS初戦を飾った。

DeNAファンの青色がスタンドの8割方を占める横浜スタジアム。DeNA先発は左腕・石田。オープナー的な起用が予想される中、阪神は4番にマルテが復帰して大山が5番。糸原・梅野・中谷で下位打線を形成する。初回先頭・近本の中前安打とマルテ・四球で二死1・2塁の先制機を作るも、5番 大山は良い当たりの右飛に倒れた。

試合前 夫人の出産に立会う為、ジョンソンが急遽帰国との一報が入った阪神。現状最も安定している西をCS開幕投手に指名した。DeNAもレギュラーシーズン最終盤、右手小指に死球を受けて欠場していた筒香が3番に復帰。ソト・ロペス・宮崎らと強力打線で臨む。西は立ち上がり、神里・ソトの連打で無死1・2塁とされて3番 筒香には低めの変化球を上手く仕留められて右中間へ先制3ランを浴びてしまう。更にロペス・宮崎にも連打を喰らうが、宮崎のセンター返しを左足首付近に受けて負傷交代。後のピンチは守屋が抑えたが、満を持して送り出した右腕が僅か12球で一死も取れずにまさかの降板となった。(西は 0/3回 5安打 3失点)

阪神は2回表の攻撃で守屋に代打・陽川を起用した為、その裏からガルシアが登板して早いテンポの投球で守りからリズムを作る。すると4回表 大山の左中間二塁打から一死3塁として7番 梅野の右犠飛で効率よく1点を返した。DeNA・石田はこの回まで投げて、4回(78球)3安打 4三振 2四球 1失点。オープナーの役割を果たして後を救援陣に託した。阪神ガルシアも3回(38球)を投げて1安打1三振 無失点の好投だ。

5回表 DeNAは2人目にエース左腕・今永を投入して勝負に出る。今永は阪神先頭の代打・上本にヒットを許し、二死後 入れ替わりの走者・近本の盗塁でピンチを背負うが、福留を一ゴロに封じ込めている。その裏 阪神4人目・島本は、一死から神里・ソトの連打で1・3塁とされて3番 筒香に右前適時安打を浴びた。レギュラーシーズン11打数無安打と完全に封じていた筒香に打たれた島本は、続くロペスには三塁ベースに当たって跳ねる不運な左適時二塁打。更にこの後二死満塁から7番 柴田にも右前2点適時安打を許して、この回4失点。7対1とDeNAに大差をつけられてしまった。

非常に苦しくなった阪神は7回表 DeNA3人目・バリオスに代打攻勢をかける。一死後 代打・高山の左二塁打。続く木浪も代打で中前適時安打を放って1点を返した。代わったエスコバーから近本が遊撃内野安打で繋ぎ、2番 北條は左越え3点本塁打を放って一気に2点差に詰め、波乱含みの様相を呈する。その裏を6人目・ドリスが抑えた阪神は8回表にも梅野のヒットから二死2塁として途中出場・木浪の右前適時安打で7対6と迫った。

尚も近本の右前安打で二死1・3塁とチャンスを広げてエスコバーをKO。DeNAは前打席本塁打の北條に5人目・国吉をぶつける。近本盗塁後、北條は前進守備のセンター頭上を越える2点適時三塁打を放って、阪神が遂に8対7と逆転した。

阪神は、その裏を岩崎が大和・神里・ソトを3者三振に斬って守護神へと繋ぐ。藤川は筒香・ロペスを抑えて二死となる。5番 宮崎のライトを襲った打球は高山が直接捕球したと一旦は判定されたが、ラミレス監督のリクエストによってフェンスに跳ね返った二塁打という判定に変わる。続く代打・佐野を申告敬遠。適時打を放っている7番 柴田との勝負となったが、藤川は柴田を左邪飛に打ち取り、漸く試合終了。激戦の末 8対7と大逆転で阪神がCS初戦をモノにしている。

「疲れました!・・最高の疲れですね、ハイ」。ヒーローインタビューは、決勝打含む5打点の北條史也内野手だ。8回表の逆転機では、打席に向かう際にこの日無安打の次打者・福留から「今日はオレの日じゃないから、お前 打って来い!」と檄を飛ばされたという。「完全アウェイの中でやったのは初めてなんで。いつも通りの思い切ったプレーをしようと言う気持ちで」成し遂げた大仕事だった。

「ずっと手に汗握ってた。最後だけちゃうよ!凄い!ホンマに選手が。凄い」。最大6点差をひっくり返した勝利に矢野燿大監督は、試合後も興奮していた。「今のチームが目指す野球というのは全員で戦うって言うね。・・勿論 全体のヒーローは北條なんだけど。全員で野球が出来たって言うのが凄く嬉しいし、常々 苦しい時どうするか?とか、諦めないとか・・(感極まって)そういう野球が出来た」と絞り出して思わず涙ぐむ。

継投はいきなりのアクシデントから始まったが、「最後に人数が足りなくなるかな?っていう部分もあったけど。まぁ、もう行くしか無いんで。(投手が足りなく)なったらなったで考えるしかないかな?って・・行けるだけ行ってみよう」と野手も含めて惜し気もなく手持ちのカードを切りまくったという。「(試合前 ミーティングで)ここに来た事は、オレ 奇跡だとは思っていなくて、みんなの力、粘り、諦めない気持ちが、ここに来たと思うし。今日から奇跡のスタートだ!って話をした」指揮官にとって深い意味のある勝利となった。

「まぁ、みんなにとって・・大きい。このシリーズで成長していける(1勝)。オレら、まだ強いチームじゃないんで。でも強くなれる戦いをしてくれてるんでね。まぁ、そういう部分でもチームにとっても大きいし、こんな姿をファンに見せられた!って事も・・」。ここまで話して、また嗚咽する指揮官。これでファーストステージはあと1勝と王手をかけたが、「勿論明日決めに行くつもりやし、今日と同じようにね。また全員で戦う形になると思うし。勿論 全員が戦力で、全員が必要な!そういう戦いを明日もやって行く」決意を示して、宿舎へと引き上げて行った。

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