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8月18日(tham31) 『不敗神話』瀬戸際で死守

戦評

1点差で終盤勝負となった厳しいせめぎ合いを自慢の救援陣が踏ん張り、阪神が『不敗神話』を死守した。

ヤクルト先発・カラシティーに対して阪神の上位打線は前夜と同じだが、6番センターには伊藤隼を起用する。初回 阪神は二死から福留が敵失、糸井・四球で1・2塁とするが、5番 ロサリオが投ゴロに倒れる。

阪神先発・小野に臨むヤクルトは、7番サードで宮本丈がプロ初スタメン。小野は立ち上がり、坂口の二塁打などで一死1・2塁とされ、4番バレンティンにライトへの適時安打を打たれて先取点を奪われる。尚もピンチだったが、雄平を遊ゴロ併殺打に取り、ここは1失点で切り抜けた。

3回表 阪神は一死から糸原がセンターへの三塁打でチャンスを作ると2番 北條が6試合連続安打・24試合連続出塁となる左前同点適時安打を放って1対1とする。「打ったのはフォーク。内野が下がっていたので、当てれば何か起こるだろうと楽な気持ちで打席に入った。糸原さんに続くことが出来て良かった」と、北條史也内野手は振り返っている。

その裏 小野は二死から青木のヒット、山田・四球で1・2塁で再びバレンティンを迎えたが、ここは150km/h外角速球で見逃し三振に斬って脱出する。

4回表 伊藤隼・四球と鳥谷のヒットなどで一死2・3塁となって9番 小野が高いバウンドの一ゴロを打って勝ち越し走者を迎え入れ、阪神が2対1とリードする。

小野は、その後も先頭打者の出塁を許してピンチを招く。宮本丈にプロ初安打を許した4回裏一死1・2塁は8番 中村を二ゴロ併殺に打ち取り、投手・カラシティーのヒットから招いた5回裏無死1・3塁も青木・山田哲・バレンティンの上位3人を見事に押さえ込んだ。

すると6回表一死 阪神は7番 鳥谷が左越えの今季1号ソロ本塁打を放つ。続く梅野もバックスクリーンへ2者連続本塁打となる6号アーチを描いてリードを広げる。「打ったのはストレート。追加点がほしい展開だったので、塁に出ることだけを考えてコンパクトにスイングした。良い形でとらえることが出来た」と鳥谷 敬内野手。梅野隆太郎捕手は、「打ったのはおそらくカット。鳥谷さんの流れに乗って、初球から思い切り振って行こうと思っていた。良い追加点が取れたので、気を引き締めてしっかり守っていきたい」と表情を引き締める。

しかし、小野はピリッとしない。その裏 2者連続四球と宮本丈のプロ初安打からの2打席連続ヒットで無死満塁とされて、リリーフ陣に大きな負担をかける。代わった桑原は代打・上田を空振り三振に取るが、続く代打・畠山に中前2点適時安打を浴びて再び1点差。それでも後続の坂口・青木は何とか抑えた。

「序盤はなんとか最小失点で粘ることが出来たけど、4回・6回と点が入った次の回(裏の守り)で先頭に四球を与えた事で良い流れを切るような投球になってしまい、先発の役割が果たせなかった」。5回0/3(102球)7安打2三振5四球3失点で勝利投手の権利を残しながらも、小野泰己投手は反省しきりのコメントだった。

1点差で繰り広げられた終盤の攻防だが、両軍共にリリーフ陣が素晴らしい内容を見せる。ヤクルトは7回からハフ〜風張〜梅野が追加点を許さない。阪神も7回 藤川、8回 能見が3人ずつで片付ける完璧な投球で守護神 ドリスに全てを託した。

前回(広島戦)1球で危険球退場となって以来の登板となったドリス。運命の9回裏 ヤクルトは途中出場・井野の右前安打から坂口・犠打で一死2塁とチャンスを作る。青木は良い当たりの中飛に打ち取るが、ここから一発のある山田哲・バレンティンに対しドリスが制球が乱し、連続四球を与えて二死満塁。絶体絶命の場面で5番 雄平にもボール2となったが、ドリスが土俵際で踏ん張りカウント2-2からの7球目を三邪飛に打ち取って漸く4対3で東京ヤクルトの追撃を振り切った。

先発・小野は8月に入って3連勝の7勝目をゲットした。 6回終了時にリードしている試合は、これで40戦39勝(1分)負け無し。不敗神話がギリギリのところで守られたが、これは言うまでもなく藤川・能見らベテラン救援陣の働きに負うところが大きい。この日も先発・小野が手放しかけた勝利を桑原らが際どく繋いで虎の子のリードを守り切った。ヒーローインタビューに立った梅野隆太郎捕手も、「後ろの先輩達がしっかり抑えてくれるので。何とか粘って1点差にはなったけど、追いつかれないところが中継ぎ陣〜抑えの凄い踏ん張ってくれるところなんで、ホント それを信じて受けてました」と振り返っている。

「冷や冷やを超えてるねー!」。試合後、金本知憲監督は疲れ切った表情だった。「最近ドリスが良かっただけに… 。先頭打者の出塁がね」とあわやサヨナラ負けの場面を招いた事に言及。それでも、桑原・藤川・能見のベテランには最敬礼の指揮官である。打撃陣では、貴重な本塁打を放った鳥谷について「その後の右前安打。この打球が良いポイントで打てていたので、そこは評価したい。ゲーム的には逆方向の本塁打も良かったんだけど(大きなファールも含め)良いポイントで打ち出したのでこれからが楽しみだね」と打撃内容に満足していた。

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