夏の長期ロードは残り6試合、マジックは20。どちらも少なくなってきたタイミングでえぐい高橋が帰ってきた。立ち上がりの2奪三振での三者凡退は好投を予感させるものだった。
2回には2死2塁から1、2塁を破ろうかという打球をセカンドの中野が抜かせない。俊足を活かして追いつくと一回転して1塁へ送球、好守備で先制点を防いだ。
3回以降も高橋の快投は続いた。ストレートは強く、スライダーはキレ、ツーシームは捉えられない。打者21人に対して11奪三振。6回を投げて失点は本塁打による1点だけ。その1球以外は完璧な投球だった。
「ストレートの感覚もよく相手が嫌がっているのも感じました。だからツーシームや変化球を有効的に使うことができ三振も増えたのかなと思います。先制点は与えてしまいましたが、どの球種でもストライクも取れて全体的にはいい投球ができたと思います」
高橋の今季最高の投球に応えたい打線は1点を追う5回に高寺の2塁打からチャンスを作り、熊谷の放った強い打球が相手の失策を誘って同点に追いついた。
中盤から後半にかけても何度も塁を賑わせた。6回は中軸がチャンスメイクして1死満塁。7回は1死2塁。勝ち越しのホームはすぐそこにあったはずなのにあと1本が出ない。8回に佐藤輝がライトポール際に放った打球も惜しくもファウルに。9回も2死満塁から森下が鋭い打球を弾き返すがサードライナーとなってしまった。
1-1の膠着状態でリリーフ陣は踏ん張った。7回は及川が3人でピシャリ。高橋と同じく付け入る隙のない投球だった。8回は石井が自らの失策でピンチを招いたがホームは踏ませない。連続試合無失点記録を42試合に伸ばした。桐敷が登板した9回は1死1塁の場面を三振ゲッツーで切り抜け延長戦へ持ち込んだ。
1-1で迎えた10回、大山の安打から3度目の満塁機を作ると今度は逃さない。熊谷がセンター前に運び2者が生還。ついに勝ち越しに成功した。
「みんながつないでくれたので何とかバットに当てれば点入るかなと思ってました。追い込まれたんですけど必死に食らいついていくだけだなと思ったので良かったです。これだけのタイガースファンの皆さんの前で打てて良かったなと思います」
2点のリードを奪うとその裏は岩崎が1死1塁から併殺打に打ち取り試合終了。リリーフ陣は鉄壁で、中軸以外の打者が試合を決める。チーム力の勝利でマジックを19に減らした。カード初戦をとり、明日は伊藤将の好投で連勝を狙う。