効率の良い攻撃で前半優位に立った阪神だが、オリックスの追い上げに逢って暗転。最後はサヨナラ負けに終わった。
オリックス先発・東明に対する阪神は、4番 福留を指名打者で起用。中谷を7番レフトに置いて臨む。初回 3番高山の右二塁打と2四球で一死満塁のチャンスを作り、5番 原口の遊ゴロが併殺崩れとなる間に先制の1点が入った。
阪神先発左腕・能見に挑むオリックスは、前夜4安打と振れている武田を1番に据えるなど右打者をズラリと並べるオーダー。能見は初回は3者凡退で滑り出すが、2回裏二死から6番 中島に上手くレフト線に運ばれて通算300二塁打を献上。続くT-岡田にも四球を与えたが、8番 大城は遊ゴロに打ち取った。初球から積極的に振って来る打者が多い中、能見はテンポよく低め低めを突く投球でリズムを作って行く。
東明はテークバックが小さく、両サイドを丁寧に投げ分けるピッチングで2・3回を抑えたが、4回表 阪神は原口・鳥谷の長短打で一死1・3塁として7番 中谷が高めに抜けた変化球を豪快にレフトスタンドへ運ぶ7号3点本塁打を放って4対0とする。
中谷将大外野手が言う。「打ったのはスライダー。チャンスの打席だったのでとにかくランナーを返す事だけ考えて、高めに浮いてきたボールをしっかり振り切ることが出来た。打った瞬間の感触も良かったし、なにより追加点を取ることが出来て良かった」。
東明は4回(79球)4安打1三振3四球4失点で交代。オリックスは2人目の赤間が5回から2イニングをピシャリと締めて、試合の流れを変えて行く。打線はは5回裏 先頭7番 T-岡田がスライダーを見事に捉えライトへの14号ソロ本塁打を放り込んで、能見から漸く1点を返す。
能見は今季初の被本塁打となったが、次の6回に乱れる。西野・安達に長短打を浴びて無死2・3塁から4番ロメロ・5番 大城に連続適時安打を浴びて1点差に迫られ降板となった。安達に打たれた後、トレーナーが一度様子を見に行ったのは左手の指に異変が生じていたから。能見がマウンドを降りる際にはユニフォームに血がついていたのを確認されている。
無死1・2塁で代わった阪神2人目・桑原だが、自らの暴投で走者を進めて傷口を広げる。中島・T-岡田を打ち取るも代打・駿太に死球を与え二死満塁となり、代打モレルにはボール先行のカウント2-0からの3球目を打たれて左前適時安打を浴びて、同点に追いつかれてしまった。
阪神打線は4安打で4点と効率良く得点を取ったが、5回以降8回まで赤間〜近藤〜黒木と繋ぐオリックス・リリーフ陣の前に1人の走者も出す事が出来ない。9回表 5人目・平野から鳥谷・糸原・俊介のヒットで二死満塁と久々に好機を作るが、1番 糸井が一ゴロに倒れて勝ち越し点を奪えなかった。
7〜8回を岩崎が抑えた阪神は9回裏 4人目マテオを投入する。しかし、先頭・伊藤に四球を与えて犠打・四球・安打で一死満塁となり、4番ロメロに左前適時安打を決められ、敢え無く5対4とサヨナラ負けを喫した。「マウンドとスライダーの感じが合わなかった。四球が(サヨナラ負けの)原因だと思う。スライダーが少し外側に流れていたのを修正出来なかった。京セラドームで暫くなかったので難しかった。次は修正したいね」。今季初黒星のマルコス・マテオ投手は、悪びれずに振り返っている。
「(能見は指の影響が)あったのかなぁ?突然そうなったから・・」。金本知憲監督は、悔しさを押し殺しながら、言葉を絞り出す。「先発(東明を)降ろした後、点を取れなかったのが大きい。(糸井は)昨日も打ったんだけど、まだまだ本調子じゃない気がする。(明日は)カード勝ち越しを懸けて、頑張るしかないでしょう」。
その後、能見の怪我は左手の薬指と判明。香田勲男投手コーチによると、「親指の爪で薬指を」傷つけてしまったようだ。マテオに関しては、「(先頭打者の)9番に四球。やってはいけない事をやったから、こういう結果になった」と話す。
「ちょっと抉(えぐ)ってしまったかな?力むとたまに出る」。試合後、能見篤史投手は意外とサバサバした様子。「(打たれた6回については)カウント負けもあったし、追い込むところで追い込めなかったのもあった。4点取ってもらったから、何とか抑えたかったんですけど。(指の影響は)無いよ、無いよ。流れとして、カウントを整えられなかったと言うのが」敗因だと潔く答えていた。