プロ初先発の若い2年目バッテリーが立ち上がりから躓いた阪神が、大幅な打順変更も実らず終始主導権を相手に握られた展開の中で完敗を喫した。
38歳と19歳の新旧右腕対決。球界の『レジェンド』中日先発・松坂に対して阪神は植田・糸原の1・2番。クリーンアップは福留・ロサリオ・糸井と今季初めての並びに変更して、下位も伊藤隼・鳥谷・長坂という斬新な顔ぶれで臨む。松坂は初回 糸原・福留を連続三振に取って最高のスタートを切る。
一方、阪神は才木〜長坂と共に2年目にしてプロ初先発の若いバッテリー。初回いきなり初球を京田に叩かれての右前安打からアルモンテ・中前安打とビシエドへの死球で一死満塁となり、5番モヤに押し出し四球を与えて先制点を失う。続く福田にも右前への2点適時安打を浴びて立ち上がりに3点を奪われた。2回裏にも二死から京田の右二塁打と暴投で三塁に走者を背負い、2番 大島の投手適時内野安打で追加点を許している。
3回表 阪神は一死後プロ初先発・長坂が変化球を左中間へ運んでプロ初安打となる二塁打を放ち初めての走者を出す。続く才木もカーブを右腕に受ける死球で出塁して繋ぐが、植田・糸原が連続三振に仕留められて得点が入らない。松坂は序盤だけで5奪三振とボールが非常に切れていた。
投げっぷりは良いが、変化球の多い配球もあってか? なかなか波に乗れない才木は4回裏 松坂・京田の長短打で無死2・3塁とされる。二死後ビシエドは歩かせたが、何とか後続を抑えて大器の片鱗をのぞかせている。5回裏は松井雅のバント・ファールフライを長坂が素早い反応でダイビングキャッチする超美技もあったが、福田・松坂のヒットで二死1・2塁とされて1番 京田にこの日4安打目となる右前適時安打を打たれて5点目を失った。
「毎回走者を出してピンチを招いてしまい、攻撃にいいリズムを持って来られるような投球をすることが出来なかった」。2年目・才木浩人投手のプロ初先発は5回(118球)12安打5三振 3四死球5失点。この日最速148km/hの直球がありながら、持ち味を生かせなかった事が結果以上に悔やまれる。
6回表 阪神は一死後、植田が上手く左前安打を放って出塁して、2番 糸原の中越え適時二塁打で生還。漸く松坂から1点を返した。松坂は7回(91球)を投げて 3安打 7三振 1死球 1失点。「何とかゲームは作れたと思う」というコメント以上の素晴らしい内容で味方の攻撃にリズムをもたらした。
中日2人目・岩瀬が登板した7回表も糸井の四球出塁からの盗塁に敵失が絡んで一死3塁のチャンスがあったが、これを逃した直後に3人目・尾仲の一塁牽制悪送球が祟って一死3塁から1番 京田の中犠飛で相手に追加点を取られる。こうなるとゲームの流れは如何ともし難く、阪神はそのまま6対1で敗れ去った。連敗の阪神は20年ぶりとなる12試合連続一桁安打という深刻な打撃状況で、中日と代わって5位に転落した。
中日・松坂は投打にわたる活躍で今季2勝目をマーク。打線ではトップバッター京田が4安打2打点とフルに機能した中日には文句なしの白星だった。松坂大輔投手は、「最初の3点で非常に楽にゲームに入ることが出来た。状態はあまり良くなかったけど、ここ何試合もカットボールだけは唯一信用のできるボールなので、それを軸にして何とかゲームを作れたと思う」と話している。
「(松坂は狙い球が絞りづらかったか?について)ベンチからは、ちょっと分からんかったな。真っ直ぐもカットもスピードガンでは変わらないから…」。金本知憲監督が話す。「(打順変更は)コーチと話し合って考えたけど、結果が出なかったんだから仕方ない。個人個人がやっていくしかない。それぞれが状態を上げていくしか…。今年は我慢が長いけど。でも、我慢して行くしかない。上がって来るのを信じて待つしかない」。
プロ2年目の一軍初先発は、ほろ苦いなんてもんじゃなかった。「5回を投げて3人で切った回がなく、攻撃に流れを持ってくる事が出来なかったのが反省。(中日打線について)甘い球は逃してくれなかった。京田さんにも先頭で真っ直ぐをしっかり捉えられた。(一軍の打者は)レベルが高いと思った」。才木浩人投手は、悔しい登板を冷静に振り返る。「(収獲は)フォークで三振が取れたのは良かった。ただ(フォークボールも回が進むに連れて)引っかかったりするところがあった。松坂さんはテンポが良かった。そういうところで攻撃にリズムが出て来るんだと思う。自分も(そういう投球を)取り入れたい」。悔しい初黒星にも期待の19歳右腕は、どこまでも前向きに胸を張っていた。