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7月1日(st0000007) 若い打線で薄氷勝利

戦評

序盤のビッグイニングで主導権を握った阪神が、東京ヤクルトの猛追を紙一重で凌ぎ 綱渡りの連勝を飾った。

阪神は、前日右足に死球を受けた糸井が欠場。福留も休ませ、3番ナバーロを来日初スタメンで起用して陽川・俊介とクリーンアップを組むなど若手中心の打線で、ヤクルト先発左腕・今季初登板の寺島に挑む。

前日頭部死球のヤクルト・青木が、この日は大事を取ってスタメンを外れた。阪神先発・小野は、いきなり西浦の打球をサード北條が弾く失策で走者を背負う。この後、坂口・左前安打や山田哲の盗塁もあって一死2・3塁のピンチを招いた。4番バレンティンは痛烈な打球を放つが、今度は北條が身を呈して止めて三ゴロに打ち取り、続く雄平も空振り三振で立ち上がりのピンチを切り抜けた。

前回3者凡退でスタートした阪神だが、2回表一死 5番 俊介が左翼ポール直撃の2号ソロ本塁打を放って先制する。2日前にも逆転2ランを打った俊介(藤川俊介)外野手だが、「打ったのはスライダー。上手くバットに引っ掛かってくれた。まずは先制することができて良かった」と話している。

この後、原口のヒットと2四球で二死満塁となり、1番 糸原の左前2点適時安打で加点する。熊谷歩いて再び満塁からナバーロが押し出し四球を選び、4番 陽川も右前2点適時安打と続いて、阪神は一気にこの回6点を奪った。ヤクルト・寺島は持ち味を発揮出来ないままに2回限りで降板となっている。

糸原健斗内野手が、「打ったのはスライダー。みんながヒットや四球を取って繋いでくれた打席だったし自分も後ろに繋ぐ意識で打席に入った。良い形で反対方向に打ち返す事が出来た」と振り返る。5年目にしてプロ初4番の役割を果たした陽川尚将内野手も、「打ったのはストレート。追い込まれてしまったけど、甘くなったボールをコンパクトに打ち返す事が出来た」と話している。

その裏 ヤクルトは畠山・川端の連打で無死1・3塁として8番 井野の右前適時安打で1点を返す。3連打を浴びた小野は苦しかったが、代打・山崎の中飛でタッチアップから三塁を狙った川端をセンター俊介からの送球で刺してもらって、ここは最少失点で凌ぐ事が出来た。それでも、小野はピリッとせず、続く3回裏にも連続四球と暴投でピンチを招いて5番 雄平の右適時二塁打と畠山・投ゴロの間に2点を失った。

ヤクルト2人目・大下は、3回から4イニングを1安打無失点で試合を落ち着かせる。小野も4回以降は、時折走者を背負いながらもファースト陽川の超美技に助けられるなどして、中盤は何とか失点を防いだ。小野は6回(102球)5安打3三振4四球 3失点。イニングの先頭打者に四球を与えるなど不安定な部分もあったが、終わってみればクオリティスタートの内容だった。

序盤で優位に立った阪神だが、その後はヤクルトの救援陣から追加点を奪えない。それが、大苦戦の呼び水となって行く。

終盤、阪神は継投に入る。7回裏 登板した2人目・藤川は連続三振で二死を取るが、坂口の一ゴロで藤川がベースカバーを怠り内野安打にすると山田哲の左前安打、バレンティン・四球で満塁のピンチを招く。一発逆転の場面だったが、何とか5番 雄平を内角直球で右飛に打ち取り、脱出した。

8回は桑原がピシャリと抑えたものの、まだまだ守護神が心許ない。9回裏に登板したドリスは、代打・三輪のセーフティバントがリプレー検証の末に辛うじてアウトになったものの、西浦・中前安打、坂口・四球で一死1・2塁とされる。3番 山田哲には中前適時安打を浴びて6対4。更にバレンティンの猛烈な左犠飛で1点差に迫られる。最後は雄平を空振り三振に仕留めて、6対5で際どく逃げ切った。阪神は、負け越し2つながらもヤクルトと共に同率2位となっている。

薄氷の勝利で5月5日以来の4勝目となった小野泰己投手は、「早めに点を取ってもらったけど、なかなか良いリズムで投げる事が出来なかったので。今日はホントに野手の方に感謝したいと思う。あの6点のおかげで今日は勝てたので、次は何とかゼロで抑えられるようなピッチングが出来るように頑張りたい」と話している。

「あー、もう今日は、いつ交代するか?… 分からんようなね、毎回ヒヤヒヤ。(交代時期が)読めなかったな、もう!」。金本知憲監督は、小野の不安定な内容に注文をつける。「勝てた!って言うのか、勝たしてもらったと言うのか、ちょっと判断難しいけど。本人も悔しい思いはあるだろうからな。次に生かして欲しいですね」。

打線に関しては、「うーん、まぁ若い投手で勝ってない投手だけど。そう言う投手でも今までは打てん事もあったからな。そう考えたら、打線の上がり目はあるんじゃないですかね?」と一定の評価を与える。陽川を4番に据えたのは、「他にいないでしょ? 糸井もケガしたし、コウスケ(福留)は休みの日だから。今日のメンバーなら陽川しかいないなと思った」から。「ただ、評価出来るのは(追い込まれてからの適時打など)タイムリーと言うのが凄く増えてるんでね。センターから逆方向を狙ってヒット。今日もライトへ逆方向へ打った。そういうのは、やっぱり何か覚えたのかな?」と陽川の成長を認めている。

球団103代目の4番打者となった陽川尚将内野手は、「(適時打は)何とか食らいついて行こうと思っていた。結果が出て良かった。(4番は今日の)練習前に言われた。(だけど)いつも通り。やる事は一緒なので、しっかりチャンスで回ってきたら(走者を)返すと言うのは常に意識している。これからもチャンスがあれば、結果を出して行きたい」と話して、あくまでも自然体を強調していた。

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