前半の好機に主導権をしっかりと確保出来なかった阪神が、相手投手に勝ち越しアーチを浴びるなど中盤以降はどんどん引き離される展開に苦しみ好調ヤクルトに完敗を喫した。
東京ヤクルト先発・カラシティーに対する阪神は福留・糸井・ロサリオでクリーンアップを組み、8番捕手には強打の原口を入れた。
初回無失点で滑り出した阪神先発・小野だが、2回裏先頭4番バレンティンに初球低めの変化球を完璧に拾われて レフトスタンドへ24号先制ソロ本塁打を浴びる。
3回表 阪神は糸原・北條の長短打で無死1・3塁として3番 福留の技あり・三遊間突破適時安打ですかさず同点。糸井・四球で満塁となって5番 ロサリオ・遊ゴロの間に勝ち越し点が入った。続くナバーロは遊ゴロ併殺打に倒れ、一気にカラシティーを崩せなかった事が後で響く。
同点打の福留孝介外野手は、「打ったのはフォーク。追い込まれていたので、なんとか前に飛ばして最低限同点にと思っていた。先制された後で、すぐに追いつくことができて良かった」と振り返っている。
この日の小野は、良い球と悪い球が混在する内容。4回裏には山田哲・バレンティンへの連続四球などで二死1・3塁となって6番 西浦に変化球をセンター前へと適時安打を運ばれて追いつかれる。続く5回裏には9番投手のカラシティーに高め直球をレフトスタンドへ打ち込まれる来日初本塁打を浴びて、3対2と再びヤクルトにリードを許した。
小野は5回(78球)を投げて4安打2三振3四球3失点だった。「先制されてしまった直後に味方に逆転してもらい、なんとか自分の投球リズムを立て直そうと粘りの投球を心掛けたが、4回 5回と続けて失点してしまい、先発の役割を果たすことが出来なかった。(カラシティーの一発は?)カウントを悪くしてしまったので。そこの一発と2点目はもしかしたらなかった2点なので…。リズムを掴めなかったのが今後の課題です」。小野泰己投手は申し訳なさそうに話した。
香田勲男投手コーチも、「最初の失点は仕方ないにしても2つの四球からの失点と投手の本塁打はネ。ボール自体はよくなっているからこそもったいない」と苦言を呈している。
6回表 阪神はナバーロのヒットと陽川・死球から一死2・3塁の好機を演出するも、代打・鳥谷が一ゴロに倒れるなどして得点を挙げることが出来ない。カラシティーは、6回まで投げて105球 8安打4三振4四死球2失点。自らの本塁打で奪い返したリードを保って、終盤をリリーフ陣に託した。
阪神は6回裏から継投策に出るが、2人目・望月は一死1・2塁に走者を背負って6番 西浦に直球を弾き返され、中越え2点適時二塁打を浴びて3点差とされる。それでも7回 能見、8回 桑原と勝ちパターンの投手を注ぎ込んで行く。ヤクルトは中澤〜風張と繋ぎ、センター坂口の美技などにも助けられて阪神の反撃を許さない。
8回裏には桑原が3番 山田哲に完璧な当たりでレフトスタンドへ24号ソロ本塁打を放り込まれて、ほぼ勝負あり。更に谷内の適時打などでダメ押し点も失って8対2と差が広がった。
これで余裕が出来たヤクルトは、新加入の長身右腕ウルキデスが9回表に来日初登板。阪神は糸原のヒットを生かせず、結局そのまま8対2で敗れる。ヤクルトは破竹の7連勝で勝率5割復帰。連敗の阪神は、10安打を放つも好機に有効打を欠き11残塁と拙攻を繰り返した事が敗因となった。
「(攻撃は)あと一歩かな? ヒットは出ているけどチャンスで一本(が出ない)というのが多い。(ロサリオは好機で力んで)真っ直ぐに差し込まれている。まだまだ…。誰でもチャンスでは打ちたいし…。(本塁打の場面で小野はカラシティーにストライクを)取りにいったところがあったのかな?四球を出したらいけないと思ってね。(投打がなかなか噛み合わない現状に)勝ちパターンの投手も何人か使ったけど、それでも何点か取られているから…」。金本知憲監督は、思うようにいかない戦いに首を捻った。
キャプテン・福留孝介外野手は言う。「(適時打の場面は)後ろにつなごうと思っていた。(苦しい状況が続くが)全員でやっていかないと! そう簡単に物事が変わるわけじゃないので…」。何度もチームの苦境を経験して来たベテランは、ネバーギブアップの姿勢を強調していた。