初回の強烈な先制パンチが、最後までモノを言うゲームとなった。
巨人先発・内海に対する阪神は、福留・糸井・ロサリオでクリーンアップを組んで臨む。初回 2安打1四球で一死満塁として5番ロサリオが、2球目・真っ直ぐを捉えてセンター左へ先制の8号満塁本塁打を放ち、最高のスタートを切った。ウィリン・ロサリオ内野手は、「練習通り、自分の強いスイングをすることだけを心掛けていた。最高の結果になってくれて良かったよ」と来日初グランドスラムの感触を語っている。
阪神先発は、サウスポー岩貞。立ち上がりから腕がよく振れて、チェンジアップの切れも上々だったが、2回裏 二死から6番 長野にカウント2-2から直球を打たれてレフトへ10号ソロ本塁打を浴びる。4回裏にはマギーに14球粘られて四球を与え、岡本も歩かせて一死1・2塁。亀井は遊飛に打ち取るも、6番 長野にまたしても中前適時安打を浴びて2点差に迫られる。
巨人・内海は立ち直りつつあったが、5回表一死から北條の左中間二塁打でピンチを招くと3番 福留・4番 糸井にセンターへの連続適時二塁打を浴びて降板する。内海は4回1/3(86球)6安打 5三振 3四球6失点。ベテラン左腕の持ち味を発揮し切れず、甘く入った球を猛虎クリーンアップに痛打された。
「打ったのはチェンジアップ。点を取られた直後だったので、すぐに取り返すタイムリーになって良かった」と福留孝介外野手は振り返る。糸井嘉男外野手も次のように話した。「打ったのはストレート。良い流れで打席が回ってきたので、(福留)孝介さんに続けて良かった」。
効果的な援護点をもらった岩貞だが、その裏 先頭8番 大城に内角球をライトへ運ばれ3号ソロアーチ。一死後 1番 陽岱鋼にも外角球をライトポール際に上手く持っていかれて6号ソロ本塁打を浴びて再び2点差とされた。岩貞はこの回までで交代。後をリリーフ陣に託した。
岩貞祐太投手は5回(89球)を投げて4安打 4三振 3四球 4失点。「初回から援護点をもらって、立ち上がりはランナーを溜めないよう気をつけながら攻めの投球が出来たが、中盤で高めに浮いた球を本塁打にされてしまった。本来はもっと長いイニングを投げなければいけない展開で、リリーフの方に負担をかけてしまい申し訳ない」と反省のコメントを残した。
6回からは継投で逃げ切りを図る。6回裏 2人目・桑原は先頭・亀井に死球、続く長野も歩かせてピンチを招いたが、後続を打ち取った。7回表には巨人3人目の池田から一死1・3塁の好機を作り、4番 糸井・二ゴロの間に阪神が貴重な追加点を奪う。その後は桑原〜藤川〜ドリスと勝利の方程式で繋いで、7対4で真夏の東京ドーム巨人戦の初戦を飾っている。
「 何とかチームの為にと思って打席に入って、しっかりとストライクゾーンを打とうと言う事を心がけていたが、しっかりと結果になって良かったヨ」。 ヒーローインタビューは、来日初の満塁アーチを描いたウィリン・ロサリオ内野手だ。「(いつも)コーチと練習してますし、良いアドバイスををもらっている。ボクもしっかりと理解してやれてるので、それが結果に繋がっていると思う」。
「あれで感触を掴んだんじゃないかな?」。特に前週の京セラドームから始めたノックバットを使った打撃練習が良かったのでは?と金本知憲監督は言う。5番起用も片岡ヘッドと相談してギリギリに決めた事が功を奏した。「ロサリオが打つと勝つと言う神話までは行かないけど、ナイスホームランでした!」と声を弾ませる。
先発・岩貞を5回を投げ切らせた事に関しては、「微妙だったんですけどね、あそこは。あと一人でどうしようか?と言うところだったけど。ちょっとピリッとしないんでね。もう少しリリーフの事を考えてね。もっと意気に感じて投げて欲しかったですね」と勝利投手にも苦言を呈した。ただ、後を無失点で締めた救援陣には、次の言葉で労っている。「走者は一人二人出したけど、まぁホント、三振とか締めてくれまして。さすがです!」。
これでチームは3連勝と乗って来たが、指揮官はまだまだの姿勢を崩さない。「今 打線がだいぶ上向きになって来たんで、あとは先発投手がもう少し長いイニングを投げてくれるようになればね。手応えを感じて来るかも知れません」。真夏のロードは、まだ半ば。残り試合を考えれば、当然なのであろう。