序盤から投手陣が好調ヤクルト打線の餌食となり劣勢に立った阪神が、終盤の追い上げも届かず5カード連続の勝ち越しを逃した。
ヤクルト先発左腕・石川と対する阪神は、休養日の福留に代わって3番レフトに大山を起用する。3試合続けて捕手・井野と組む石川は、初回わずか9球で3者凡退に打ち取るスタートを切った。
阪神もサウスポー岩田が先発。立ち上がりが課題の岩田は初回二死1塁で4番バレンティンにフルカウントから低めの難しい球を左中間スタンドまで上手く運ばれ30号先制2ランとなってしまう。2回裏にも7番 西浦に甘いスライダーを打たれてバックスクリーンへの8号ソロ本塁打を浴びた。
3回表 阪神は先頭・梅野が四球で出るも岩田のバントが併殺になる拙攻。それでも二死から糸原の左二塁打と北條・四球でチャンスを作り直し、3番抜擢の大山が左中間へ適時二塁打を放って2者を返した。
これで接戦モードかと思われたが、その裏 岩田が先頭・青木の顔を掠めるような(ビデオで観る限り、当たったかどうか?も微妙な)投球を死球・危険球退場と判定され交代。急遽登板した2人目・岡本だが、山田哲の中前安打で無死1・3塁となった後 山田哲の盗塁に捕手・梅野の悪送球が重なり 先ず1点。更にバレンティンの右中間適時二塁打や7番谷内のレフトオーバー2点適時二塁打と畳みかけられ、7対2と一気に突き放されてしまった。
反撃したい阪神だが、鳥谷・俊介のヒットで一死1・2塁とした4回表は、梅野と代打・中谷が凡退する。その裏 無死満塁の大ピンチは、阪神3人目・岩崎が無失点に抑えたが、続く5回裏一死1・3塁から8番 井野にセーフティスクイズを決められて、ヤクルトに6点差をつけられる。
こうなるとベテラン左腕・石川のペース。巧みな投球に各打者が手玉に取られて、阪神はアウトを重ねて行く。しかし、7回表 梅野と途中出場・伊藤隼の長短打で無死2・3塁として1番 糸原・内野ゴロの間に1点を返すと、ヤクルトベンチは石川から風張へスイッチ。阪神は2番 北條と5番 ロサリオの適時安打で更に2点を取って、8対5と追い上げた。25試合連続出塁の北條は、7試合連続安打と相変わらず好調をキープしている。
救援陣では6回裏から登板した4人目・望月が、最速155km/hの速球を軸に走者は出したものの2イニングを無失点に抑えた。5人目には、15日・広島戦(京セラドーム)に先発した才木が6月30日以来のリリーフ登板。金本監督によると、アクシデントによって(このような展開で登板する)投手が足りなくなった為の措置であったようだ。才木は連続四球でピンチを『自作自演』したが、何とか8回裏をゼロで終えている。
9回表 3点差を追う阪神が見せ場を作る。クローザー石山から北條・内野安打、大山・糸井の連続四球で無死満塁とする。しかし、5番ロサリオは三邪飛。続く鳥谷が二ゴロ併殺打に倒れて万事休す。8対5とヤクルトが最後まで主導権を渡さず逃げ切り、セリーグ2位の座を守った。4カード連続勝ち越し中だった阪神だが、久しぶりのカード負け越しとなった。
2回0/3(44球) 3安打1三振1死球4失点(自責3)。思わぬ形での降板で3敗目を喫した岩田 稔投手は、「先発投手としての役割を果たすことができず、チームに迷惑をかけてしまい申し訳ない」と語っている。
「まぁな…」。やはり、危険球退場からの流れで大量失点を食らった3回裏がポイントだったと金本知憲監督も認める。しかし、打者に投球が当たっていないようにも見えた事に関しては、「まぁ、審判がそうやって危険球を宣告した以上、覆らないと言う事だから。ビデオ判定も無いし…」と繰り言は避けた。「(岩田は)インコース行くなら、やっぱ高め行かないとな!インローで勝負と言うのは、ちょっと分かんない。バッテリーが…。去年から、(いや)一昨年からずっと言ってるんだよ!」。先制本塁打を浴びたところは少し声を荒ら
げるなど、当然の如く終始不機嫌な指揮官であった。