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10月13日(tham31) 虎の意地!鉄人に贈る有終の白星

戦評

後手後手の展開から9回に追いつき延長戦にもつれ込んだ試合。若虎の活躍で決勝点を奪った阪神が、金本監督ラストゲームとなった今季最終戦を意地の白星で締め括った。

中日先発・柳に対して阪神は、陽川・大山・中谷でクリーンアップを組むなど若手中心のオーダーで臨む。一方、中日は今季限りでユニフォームを脱ぐ荒木が1番に入った。

阪神は、竹安がプロ初先発。いきなり荒木の右前安打から一死2塁のピンチを招き、3番 大島の中前適時安打で立ち上がりに1点を失う。直後の2回表 阪神も大山・梅野のヒットで二死1・2塁として8番 板山の中前適時安打ですぐに追いついた。「打ったのはストレート。(二死で次打者が投手の竹安なので)『自分が走者を還す!』という気持ちだった」と話す板山祐太郎外野手。気合いの同点打である。

2回から立ち直っていた竹安だが、5回裏一死後 平田の中前安打で走者を背負い、7番 高橋にライトへの適時二塁打を浴びて勝ち越し点を奪われた。竹安大知投手は5回(65球)を投げて5安打1三振無四球2失点で降板。「初回と5回の適時打はどちらもカウント負けしてしまい、甘く入った球を打たれてしまった。(プロ初先発は)やはり緊張したし、立ち上がりは球が上擦ってしまったが、投げながら少しずつ修正することは出来た。最終戦で先発させてもらったこの経験を、しっかり来季に生かしていきたい」と話している。

阪神は6回から小刻みな継投。高橋聡〜岡本〜望月〜能見と繋ぎ懸命に追加点を防ぐ。中日・柳も6回(84球)4安打3三振無四球1失点の好投で、後をリリーフ陣に託した。中日は7回 石川、8回をロドリゲスが抑えて、9回表に佐藤が登板する。この回 先頭の代打・原口は空振り三振に倒れてシーズン代打最多安打記録の更新はならなかったが、陽川・四球や大山・左前安打などで一死1・3塁と阪神が絶好機を作る。ここで一塁走者が二盗を図り捕手・松井雅が送球した際、途中でカットするサインプレーが乱れて球がセンターへ抜ける間に2対2の同点となった。(記録は松井雅の失策)

中谷は三振で二死とした中日は、ベテラン左腕・岩瀬を現役最後のマウンドへ送る。阪神も梅野に代えて、かつての僚友・福留が打席へ。見納めの対決にスタンドは最高潮の盛り上がりを見せ、その中で福留はフルスイングで三振に倒れた。土壇場で追いついた阪神は、その裏を桑原が抑えて試合は延長戦へともつれ込む。

11回表 阪神は中日7人目・祖父江から途中出場・植田のヒット・盗塁で二死2塁として、9回の勝ち越し機で打てなかった5番 中谷がリベンジの左前適時安打を放ち、3対2とリードを奪った。その裏を守護神・ドリスが抑えて、阪神が今季最終戦を白星で飾っている。勝ち投手は10回裏を抑えた7人目・藤川。ドリスは32個目のセーブでシーズンを締め括った。

試合後、阪神ナインはレフトスタンドの虎党へ向かって挨拶。スタンドからは、退任する金本監督へ労いの拍手が贈られた。ナゴヤドームの中日ファンからも温かい声援が飛ぶ。そんな中で指揮官は、やはり今季限りで退く中日・森監督と固い握手を交わして、グラウンドを後にしている。

「ここ数試合かは、足を絡めたりとか、そういう動きが出て来てるんでね。最後の最後で良かったと思う。接戦を勝ち取る執念を出してネ…」。金本知憲監督が振り返る。「毎年勝つ事を要求されるチームでしたけど、そこを…思い切って、なるべく補強を避けて若い選手を作って行くっていう面では道半ばでしたけど。まぁ、それもプロ野球なんで、結果なんで、それはもう仕方ないって言うかね?まぁ、本当に選手はやってくれたんですけど、なかなかボクの力及ばずで、ファンには申し訳ないと思ってます」。

若虎には、「やっぱり、苦しい練習も課したりしましたし。しんどい練習もしっかりついて来てくれたんで、自信持って欲しい。とにかく前向きに!…若いんですから、失敗して覚えなさい!って言うね。チャレンジ精神を持ってね、どんどん前向きに前のめりに失敗してほしいですね、ハイ、たくさん」とエールを贈る。

どんな勝負であったとしても、試合後の囲み取材を拒否した事は一度もなかった。悔しい最下位に終わった背景には不可抗力が多々あったのも事実だが、もはや一切の言い訳をせずにユニフォームを脱ぐ。さまざまな思いが去来する中、鉄人と呼ばれた男の指揮官としての第一幕が静かに閉じて行った。

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