若き右腕が失策や四球をキッカケに失点を重ねた阪神が、相手左腕の完璧な投球の前に打線が沈黙し 無安打無得点での完敗を喫した。
中日先発左腕・大野雄に対する阪神は、福留が休養。大山・マルテ・北條がクリーンアップを組み、6番には陽川を起用して臨む。大野雄は変化球を巧みに使い緩急自在な投球で序盤3回を4三振と4つの内野ゴロ・1内野フライ(邪飛)と完璧な内容で滑り出した。
阪神は、望月がプロ初勝利を挙げた8月22日DeNA戦(京セラドーム大阪)以来の先発。内野は木浪をセカンドに回し、北條がショートを守る。中日は、7番 平田に代わって両打ちの藤井を5試合振りスタメンで使って来た。初回3者凡退で立ち上がった望月だが、2回裏 先頭・ビシエドに中越え二塁打を浴び、高橋・二ゴロで進塁された後、6番 阿部にカウント1-2から投げたフォークボールが暴投となり1点を失って先制を許す。
3回裏には一塁手マルテの失策とバント処理で望月が尻餅をつき(記録は大野雄・内野安打)無死1・2塁。一死後、京田・死球(阪神リクエストも覆らず)で満塁のピンチとなる。3番 福田の右犠飛で2点目を奪われた。
5回裏 中日は二死1塁に四球の福田を置いて4番ビシエドが右越え適時二塁打を放ち3対0とリードを広げる。望月は5回(94球)まで投げて 3安打 3三振 4四死球 3失点で交代。「序盤から無駄な走者を出してしまい、要所要所で粘る事が出来ず、悔しい投球となった」。望月惇志投手は、こう話して唇を噛み締めている。
大野雄は、5回まで毎回三振を奪ってパーフェクトな投球。捕手がマルテのバットで左手首負傷の加藤に代わって大野奨がマスクを被った6回表 阪神は一死 8番 梅野が遊ゴロ失策(京田の悪送球。一塁でのタッチプレーを巡るリプレー検証も判定覆らず)で出塁する。二死後 梅野が盗塁成功。しかし、1番 木浪のセンターへ抜けそうな当たりを今度はショート京田にエラーを取り返す美技で捌かれてノーヒットのまま終盤へ突入する。
7回表には一死から大山が四球を選び出塁するもマルテと代打・糸原が倒れて、依然として毎回三振と無安打無得点が続く。8回表は梅野のヒット性打球が高橋の美技に阻まれ三ゴロとなるなど阪神にとってはツキのない展開で とうとうノーヒットのまま最終回を迎える事になった。
阪神は6回から守屋〜能見〜ドリスと繋ぐ。8回裏ドリスは一死から内野安打と味方のエラーでピンチを招くが、何とか後続を切って3点差で運命の9回表に入った。先頭の代打・原口はフルカウントまで粘るも遊ゴロ。続く木浪も遊ゴロで二死となる。ドーム内が異様な緊張感に包まれる2番 近本は良い当たりのサードライナーに倒れて、遂に大野雄が偉業を成し遂げた。126球 9三振1四球。今季は、つい8日前(9月6日)にソフトバンク・千賀が達成したばかりだが、史上81人目(通算92度目)のノーヒットノーランで、中日が3対0で阪神を下した。
ヒーローインタビューで歴史に名を刻んだ中日・大野雄大投手は、「信じられない気分。絶対打たれるやろな!と思って5回位から投げてたので。前回登板に続いて立ち上がりが良くて、狙ったところに狙った球を投げる事が出来た。(前回と比べると)そんなに球が走ってなかったけど、コントロール良くコースにきっちり投げられたから こうなったと思う」と偉業を振り返っている。
「(大野雄は)状態が良かったから、そんなになかなか簡単に崩せないなって言うのは立ち上がり見ても思ってた。モッチー(望月)が打たれた!って言うよりは、エラーもあったり、自分で四球とかね。向こうに流れが行くような点の取られ方って言うのはあったと思うから。そう言うところで、向こうにリズム良く投げられた」。矢野燿大監督がサバサバと完敗を振り返る。「(打つ方も狙いが)絞りづらいと言うか? ツーシームがスピードも結構速いし、真っ直ぐに見えると言うところで、なかなか見てるほど簡単ではないけど。ウチの課題やと思う」。
チームとしては2006年9月16日 同じナゴヤドームで山本昌投手(中日)に達成されて以来13年振りの屈辱だが、「まぁまぁ(無安打無得点が)2敗になる訳じゃないんでね。この負けも痛いけど(それ以上に)残りの戦いをオレらがどういう姿勢を見せるか?の方が大事なので。明日から全力で行きます!」と話して、指揮官は今季最後のナゴヤドームを後にした。