順調に3まで減ったマジックとは対照的に併殺数は増えていった。試合開始前の時点で奪った併殺は12球団トップの113個。中野、木浪の二遊間を中心とした堅守の布陣がこの日も初回と2回に併殺を奪う。先発・青柳の立ち上がりをアシストした。さらに青柳にとってはバックの好守備と同じぐらい佐藤輝が突き上げた右の拳が頼もしかったに違いない。
両チーム無得点で迎えた3回、近本と中野が安打を放ち2人とも盗塁を決める。打力と走力に優れる1、2番コンビがチャンスメイクし森下は四球を選んで全ての塁を埋めた。1死後、佐藤輝が振り抜いた打球はグングン伸びて右中間スタンドに飛び込んだ。
「絶好のチャンスだったので積極的に振っていこうと思って打席に入りました。(フェンス直撃の2塁打だった)1打席目は風に負けたので2打席目は負けないように頑張りました。日に日にファンの皆さんの声援が大きくなるのを感じてプレーしてます」
今季19号は先制のグランドスラム。一振りで試合の主導権を握った。
4点の大きな援護点をもらった青柳は走者を出しながらも崩れない。6回を4安打無失点と試合を作った。
「負けるわけにはいかなかったですし、ファンの声援を聞いた時に"絶対"負けられないと思いました。(佐藤輝が満塁弾を打った時は)テル、最高と思ってました」
終盤はブルワー、桐敷、石井がそれぞれ好投し1回を無失点。9回は1死1塁からサードゴロの併殺打で27個目のアウトを奪い逃げ切った。
これで9月は白丸のみが10個並び、ついにアレへ王手をかけた。岡田監督は「明日(の先発)は才木か。力み倒すだろうなぁ(笑)こればっかりはしょうがないし、行けるところまで思い切り全力でいってほしいですね」と指揮官の口も軽い。歓喜の瞬間はもう目の前。明日、本拠地甲子園での宿敵・巨人戦で悲願を成就させたい。