この冬一番の冷え込みとなった鳴尾浜球場。寒風吹き荒ぶ中、新人選手や若手選手たちが自主トレを行いました。
ドラフト2位の坂本誠志郎捕手(明大)は、プロ入り後、初めてのブルペン入り。「ピッチャーの球を受けたのは久しぶりで、正直ちょっと緊張しました」と感想を語りました。
岩本輝投手の投球を受け、「岩本さんはストレートが速いピッチャー。それ以外にどんな球があるのかを、気にしながら受けました」。とはいえ、「プロのピッチャー相手で、捕るのに必死でした」と苦笑いです。
投球練習後には、岩本と会話を交わす場面も。「岩本さんも早い時期の調整段階だと思うので、どれぐらいの感じか訊いてみました。捕った後、ピッチャーと会話の時間を持つことは大事なので」と、コミュニケーションも万全です。
「自主トレ期間中は、走ったり体づくりをしたり基本的なことばかりだったので、キャッチャーらしいことができて嬉しかったです。球を捕ることが楽しかった」と話し、緊張の中にも、初めてプロのピッチャーの投球を受けた喜びを隠せない様子でした。
「機会をもらえたら、どんどん捕りたいです。いろんなピッチャーの特徴を、早く掴みたい」と、今後もブルペン入りに意欲的。「ピッチャーに、『こいつに捕ってもらいたい』と思われるように。ピッチャーが投げないと試合は始まらないし、ピッチャーあってのキャッチャー。ピッチャーのことを思って、やっていきたいです。でも気にしすぎず、自分を出していけるようにしたい」。キャッチャーとしての決意を見せています。
ドラフト3位の竹安大知投手(熊本ゴールデンラークス)は、ここまでの新人合同自主トレを振り返り、「順調にきています」と手応えを口にしました。
一昨年の12月にトミー・ジョン手術を受けた右肘の状態も、「順調です。怖さはありません」と良好。1月中のブルペン入りについては、「トレーナーと相談しながら。無理してもいけないので」と慎重ですが、キャッチボールでは「強度を上げて、距離も伸ばしています」と1歩ずつ着実に前進しています。
この日は、久保康生ファーム投手チーフコーチが鳴尾浜での自主トレを視察。竹安のキャッチボール姿に、「肘の使い方がいいね」と目を細めました。
「トミー・ジョン手術明けは、(再建した)靭帯が体に馴染むかが勝負。過度にトレーニングしたらいけないので時間が必要だけど、うまくやって腱がしっかり馴染めば強いものになる」といい、「(側副靭帯を痛めるのは)正確に力を伝えられている証。調子の良い時にしか起こらない現象だし、良いピッチャーの条件ですよ」と不安を払拭しています。
竹安が目標の選手としている岩隈久志投手(マリナーズ)は、久保コーチが近鉄コーチ時代の教え子。久保コーチは岩隈に連絡し、竹安のことを伝えたそうで、今後、久保コーチの計らいで岩隈との対話が実現する可能性も。竹安は「そういう機会をいただけたら嬉しい」と表情を輝かせます。
「岩隈さんは、三振が欲しいところで三振を、ゲッツーが欲しいところで内野ゴロを、というピッチングスタイルがすごいと思います。力感のないフォームからキレのいい球を投げる、フォーム的なことも憧れです」と竹安。岩隈の登板をニュースや動画サイトでチェックし、「変化球と真っすぐとの腕の振りが変わらないところや、下半身の使い方を参考にしています。近づけたらと思って」と手本にしていることを明かしました。
久保コーチは岩隈について、「ダルビッシュやマーくんのように大注目を浴びてメジャーへ行ったピッチャーではなく、それほど評価されないところから今の地位を築いたピッチャー」だといいます。だからこそ、「若い人たちには目標にしやすいんじゃないかな。初めから大注目の、超越した選手よりね。岩隈は入団時ヒョロヒョロだったけど、そこから少しずつきた選手。しっかり基礎が固まった上に、成り立っている」と評価します。
竹安も、「土台が大きくないと崩れてしまうので、投げ続けても崩れないよう、土台作りをしっかりしていきたい」。憧れであり目標とする岩隈に倣って、コツコツ努力を重ねていくことを誓いました。