時折、暖かい日差しも届いた鳴尾浜球場では、キャンプインを目前に自主トレで汗を流す選手の姿が多く見られました。
岩貞祐太投手は、ブルペンに入って捕手を座らせ27球を投じ、「寒かったけど体は動けているので、沖縄へ万全の状態で行けるようにしたい」と順調な仕上がりを見せています。
11月下旬から約3週間、台湾で行われたアジア・ウインターリーグに参加した岩貞は、5試合で17回投げ、2勝0敗、防御率0.53、リーグトップの27奪三振を記録し、MVPを獲得。このオフは「12月まで投げていたので、技術的なことは置いておいてウエートに専念できた」といいます。
1月には、能見篤史投手の沖縄での自主トレに参加。目標とする先輩左腕との合同自主トレを、「充実していました」と振り返りました。
「能見さんから、練習に取り組む姿勢や、一流の選手とはどういうものかを学びました。野球に対する考え方、技術以外のことも学ばせていただいた。今回得たことすべてを野球につなげていかないと、もったいないし意味がない」。共に時間を過ごす中で、得ることはあまりにも多かったようです。
「大学の時は能見さんを参考にしていました」というフォームを、能見にチェックしてもらう機会も。「『無駄なところで力が入っていない』『フォームに落ち着きが出てきた』と言っていただいて。意識しているところをピンポイントで言ってくださったので、間違ってなかったんだなと自信になりました」と表情を緩めました。
沖縄では「バッティングピッチャーを、(マウンドからホームベースまでの)18.44メートルで傾斜なしでやっていた」そうですが、「傾斜がついたら更に力感が出るので、力を抜いて、体重移動を意識してやっていきたい」と次の段階を見据えています。
ウインターリーグで掴んだ手応えと、自主トレで得た自信を糧に、「キャンプでは、ケガなく積極的に取り組んでいきたい」と意気込んだ岩貞。勝負の3年目に向け、「開幕ローテーションに入って、最初の3、4、5月でしっかりアピールして。これだけできるというのを見せたい」と力強く語りました。
プロ2年間で、挙げた勝ち星は2つ。ドラフト1位入団の素質を、今年こそ、大きく開花させます。
鶴直人投手もブルペンに入り、捕手を座らせ25球。「感じを確かめながら」と、スライダーやカーブなど変化球も投じました。
年明けからは、沖縄で行われた藤川球児投手らとの合同自主トレに参加。「しっかりやってきました。球児さんとやって、高いレベルでいい練習ができた」と充実感を漂わせます。
沖縄でもブルペンには入っており、「球数は50球ぐらい」だったそうですが、「ピッチングだけじゃなくキャッチボールも、準備をしっかりできた」といいます。藤川とのキャッチボールでは、「自分との違いを感じました」と鶴。「球児さんは、軽く投げても強さがあるし、シュート回転も全然しない」と舌を巻きます。
メジャー経験のある藤川ならではのトレーニングメニューもあったそうで、「意識の仕方などが今までと違いました」と刺激を受けた様子。「ピッチングに活かしていきたい」と話しました。
先輩との自主トレの中で、技術的なことだけにとどまらず野球に対する姿勢や考え方も学んだという選手たち。それぞれの収穫を手に、キャンプに臨みます。