鳴尾浜は、朝から本降りの雨。グラウンドが使えなかったため、自主トレで訪れた選手たちは、室内練習場でのマシン打撃やウエートトレーニングで汗を流しました。
新人合同自主トレに参加した竹安大知投手(ドラフト3位・熊本ゴールデンラークス)は、「雨でキャッチボールできる場所がなかったので」とブルペンへ。「去年12月の初め以来」という傾斜を使っての投球を行いました。
一昨年12月にトミー・ジョン手術を受けた影響で、新人合同自主トレ開始以来まだブルペン投球はしていない竹安。この日も、ブルペン入りしたとはいえ、「立ち投げですし、特に力は入れてないです。キャッチボールのテンションでした」。それでも、普段のキャッチボールでは50メートルまで距離を伸ばしており、右肘の状態は良好のようです。
ブルペンで竹安の球を受けたのは、藤井彰人球団本部企画担当。昨季限りで現役を引退し、フロント入りした藤井氏は、3月からBCリーグ・福井エレファンツにバッテリーコーチとして派遣されます。竹安が目標に掲げる岩隈久志投手(マリナーズ)とは、近鉄、楽天時代にバッテリーを組み、2008年には最優秀バッテリー賞を獲得。その藤井氏に球を受けてもらった竹安は、「ずっと試合を見ていました。光栄です」と感激の面持ちで、「いい音で捕ってもらって、気持ちよく投げられました」と喜びを口にしました。
藤井氏も、「いい球を放るね。回転もいい。力強く投げていたし、これからだんだん上がってくると思うよ」と好評価。ルーキー時代の岩隈との比較については、「岩隈は18歳だったからね(竹安は21歳)。『身長が伸びてるから、運動するな』って言ってたぐらい(笑)。ガリッガリでね」と、その違いを比べるのは難しそうです。それでも、「竹安にも良さそうな雰囲気はある。右の本格派だね。二神みたいな感じかな」と印象を語りました。
ドラフト5位の青柳晃洋投手(帝京大)も、ブルペンには入りましたが「投球は明日します」と、この日はキャッチボールのみ。新人合同自主トレでは5度のブルペン投球を行っていますが、仕上がりは「完璧ではない」といいます。
「一昨日から変化球を投げ始めたので。変化球は、真っすぐがしっかり投げられてからと思っていて、しっかりしてきたのがこの前で。自分のイメージより、少し遅かったです」と、自身の中では調整の遅れを感じているようですが、「キャンプの最初のクールを使って、ちゃんと仕上げていきたい」と力を込めました。
「真っすぐがしっかり投げられる」という基準は、「球数よりも質ですね。手元で伸びるか、回転が悪くて落ちるか。落ちるボールというのは、悪いボールなんで。伸びるボールを8、9割で投げられるようになったら、真っすぐがしっかり投げられているという感覚です」。そこをクリアして、変化球という次のステップに進みました。
いま投げている変化球は、スライダーとツーシームのみ。カーブとチェンジアップは、まだ解禁していません。「緩いボールを最初に投げると、腕の振りが緩くなるので。早いボールから入るようにしています」。その理由を明かしました。
サイドスローとアンダースローの中間から投げ込む独特の投球フォーム。膝を擦ることが、調子のバロメーターだといいます。「今は8割、膝を擦っている。フォーム的には安定してきました」と手応えも感じています。
安芸キャンプでは、2月1日にシート打撃が予定され、11日には初の対外試合となるハンファイーグルス戦も。登板についてはまだ何も言われていないそうですが、「どこに照準を合わせるというのではなく、早く上に合流できるように仕上げたい」。キャンプ中の一軍昇格に向け、気合いをみなぎらせました。