2月1日のキャンプインから29日目、宜野座キャンプはついに最終日を迎えました。
午後1時すぎ、メイングラウンドでの打撃練習が終了すると、全選手が外野に集合。金本知憲監督就任後の秋季キャンプから取り入れられてきたチーム対抗リレーが、最後のメニューとして行われました。投手、野手、ベテランや外国人選手も含むすべての選手が参加し、激走に倒れ込みながらも大盛り上がり。『厳しく、明るく』キャンプを締めくくります。
ナインやコーチ陣、スタッフらで円陣が組まれると、上本博紀選手会長が「宜野座のみなさん、阪神園芸のみなさん、1カ月間キャンプにご協力くださり、ありがとうございました。これからみなさんに超変革した姿をお見せし、盛り上げていきたいと思います」と力強く挨拶。一本締めで、1カ月にわたるキャンプを打ち上げました。
監督として初めての春季キャンプを終えた金本監督は、「早かった。集中してると早いね。(選手時代の)若い時に比べたら体は楽だけど、頭とか目配りという面では疲れました」と感想を口にし、「特に大きなケガ人もなく、元気と覇気があったように思う」と総括。「就任して1年目なので、僕の野球に対する考え方と方針を伝えるために、コミュニケーションをとったつもり。思ったことは、技術的、精神的なもの全部、伝えました」と、日々の指導を通じて選手とコミュニケーションをとれたことに、納得した様子でした。
野手のMVPとして名前を挙げたのは、鳥谷敬内野手。「キャンプの収穫は、鳥谷が変わってくれたこと。率先して声を出して、ミスした選手をいじったり、いいプレーをした選手を褒めたり。自覚を持って、チームの雰囲気は自分が作るんだという意識がはっきり見えた。僕の気持ちを汲んで、しっかりやってくれた」。「お前が変わらないと、チームは変わらない」と奮起を促したキャプテンの変化に、満足感を漂わせました。
鳥谷も、「できることを、しっかりやっていこうという気持ちでした。チームとしても個人としても、いいキャンプができたと思う。元気を出して、明るくできて良かったです」。頼れるキャプテンが、優勝に向けてチームを牽引します。
投手陣に関しては、「(途中離脱の)松田と島本は誤算だったけど、その分、藤川が新しいものを見せてくれたし、能見もまた一から速球にこだわって、いい時のストレートに近いものを見せてくれた。あとはメッセンジャーのヤル気と、最後には榎田がグッと来たかな」と金本監督。
4年ぶりに阪神に復帰し、先発としての調整を進める藤川球児投手は、「総括はシーズンが終わってから、いい報告ができるかどうかがすべてなので」と引き締まった表情で話し、「まだまだシーズン終盤に向けて、体を鍛えなきゃいけない時期でもあるので、しっかりトレーニングしながら開幕を迎えられるように」と先を見据えました。
金本監督が「嬉しい誤算(笑)」と称した横田慎太郎外野手や、「期待以上」と舌を巻いたドラフト1位ルーキーの高山俊外野手など、若手の台頭も。「目指すところは高く大きく持っているので物足りないが、ちょっとずつ段階を踏んで。楽しみは楽しみ」と、さらなる飛躍に指揮官も期待を寄せています。
『超変革』をスローガンに、新生金本阪神として臨んだキャンプ。「雰囲気づくり、野球に対する姿勢と取り組みを変えると言った。キャンプでは、確かに雰囲気が変わってきているのではという感触がある」と、その手応えを感じ取った金本監督。変化を遂げつつ『鍛えるキャンプ』を完走した選手たちは、新たな戦いの日々へと向かっていきます。