埼玉西武を迎えた甲子園でのオープン戦に藤浪晋太郎投手が先発。この試合では変化球を試す事がテーマだった藤浪はチェンジアップ・カーブと言った遅い変化球をこれまでにない頻度で投げて各打者を戸惑わせます。
ただ、この日は生命線である真っ直ぐとカットボールが今一つ。カウントを悪くしては痛打を喰らうパターンに嵌まりました。8番 坂田に2打席連続適時安打を許すなど、5回(87球)6安打6三振2四球2失点に終わっています。
「ゲーム前に試したいと思っていた色んな球種を使えて収獲が多い。(組み立てとして従来のように直球の)力で押すだけではなく、今まで使った事のないカウントで緩い球、ボクの場合はカーブやチェンジアップを使うが、両方使えて良かった」。藤浪が手応えを口にします。
緩急を使う狙いは、「相手がアタマの中で1%でも意識してくれれば違う」との事。昨季シーズン216安打(日本新)の秋山に投じたチェンジアップなどは、「相手のアタマ・データに一切なかったと思うので、コース・高さが良くないところでも空振りが取れた。今後キレが出てくれば」十分武器となる感触を得たようです。
香田コーチ直伝の「(これまでとは)少し握りを変えた」カーブについては、「今までのカーブより一瞬ポッと上に行くようなイメージ。まだまだ確信はないけど、今日の投球の中では一番良いボールだった」らしく、更に精度を上げて今後は得点圏でも有効に活用したいと考えます。
課題としては、「今日は、真っ直ぐとカットボールが良くなかったので。真っ直ぐでファールを取ったり、カットをしっかり低めに」投げないといけないと反省しますが、「二つとも得意な球種なので」これから練習を重ねることで自然に解消する問題と捉えていました。
打線では、マット・ヘイグ内野手が6番サードでオープン戦初出場。西武の野上・藤原に対して3打数ノーヒット1三振に終わったものの、「(良い当たりだった左飛と中飛の)2打席に関しては、しっかりボールを叩けた。甲子園のファンの前でプレー出来て楽しかった」と笑顔を見せました。
金本知憲監督は「(ヘイグの打撃は)良かったね。柔らかい。あの2本ともヒットだ!とこっちは判断している」と上々の評価。 片岡篤史打撃コーチも「実戦でヒットは出なかったけど、初めてにしてはインコースとか変化球の見逃し方は悪くなかった。これから日本の投手・配球・雰囲気と言ったものに慣れて行って欲しい」と話しています。
2番でスタメン出場のルーキー高山は、初回 西武先発・野上の厳しい内角カットボールを技有りで一塁線に運び右二塁打でチャンスメーク。続く鳥谷の先制左前適時打を呼びました。これで日大三高時代から甲子園では14試合連続安打となっています。
この試合4打数1安打の高山 俊外野手は「打順が変わったからと言って打撃が変わるコトは望まれていない。(1打席目の二塁打は)カットボール。来た球を打っているだけ」と冷静ですが、「今日は最後の打席(藤原の内角変化球に崩されて空振り三振)ですね。初球から中途半端だった」事に悔しがっていました。
また、藤浪とコンビを組んだ梅野隆太郎捕手が二塁打を含む2打数2安打を放ち、久しぶりに得意の打撃でアピールしました。「続けて行く事が大事」と言う梅野ですが、片岡コーチは「これまで(岡崎・小宮山の)二人に引けを取ってたけど、今日は存在感(を示した)。三塁線の打球(二塁打)にしても、追い込まれてからのセンター前にしても、キッカケにして欲しい2安打」を喜んでいます。
試合は6回表 2人目の安藤が捕まって勝ち越し点を許した阪神が4対2で敗れますが、7回から1イニングずつ投げたマテオ・ドリス・歳内宏はそれぞれ内容のある投球を見せました。
「やっとホーム(甲子園)で投げる事が出来て良かった。(マウンドは)ちょっと柔らかい感じだったけど、問題ないよ」。14球で3者凡退に抑えたマルコス・マテオ投手は余裕のコメントです。
香田コーチ は、「マテオは本当にテンポが良いよね。走者が出たところも見てみたい」ので、今後は敢えて走者を背負う場面での起用も考えている事を示唆していました。