うれしいプロ初ヒットはその4日後の23日、マツダスタジアムでの広島戦。試合途中からマスクを被った坂本選手は、7回の第2打席に黒田投手からセンター前に弾き返します。さらに第3打席でも一岡投手からセンター前ヒット。守備でも4回以降の後続投手をうまくリードして、広島の強力打線を無失点に抑えます。ゲームには負けてしまい、さらにこのゲームが黒田投手の日米通算200勝目ということで、スタンドの盛り上がりに初ヒットの余韻もかき消されてしまいますが、攻守でしっかりと結果を残します。
その後も代打や守備からの途中出場を重ねながら、ベンチからプロのプレーをじっくり観察。次第に先発マスクを任される試合が増えていきます。8月末の横浜での対DeNA3連戦では、初タイムリーに初本塁打も記録。守備面だけでなく、金本監督も「慣れてきたら打てると思うよ、悪くない」と打撃面での資質にも期待を寄せています。
結局、今シーズンの出場試合数は28試合で55打席45打数9安打2打点、その内、先発マスクは18試合と、数字的には物足りないものとなりましたが、後半戦は最後まで一度も降格することなく、一軍で貴重な経験を積んだ坂本選手。そこで吸収したことは、今後の飛躍のために大きなプラスになったはずです。
シーズン終了後すぐに臨んだフェニックスリーグでは、リード面で確かな成長の跡を見せ、その後の秋季キャンプでの盗塁練習などでも強肩ぶりをいかんなく発揮。若手捕手による正捕手争いは、今後ますます白熱しそうな様相を見せています。
さらに坂本選手は、横田選手や横山、石崎、青柳投手らと共に、11月25日から台湾で行われているアジアウインターベースボールリーグに参加。オフの間も休む間もなく、一カ月近くにわたる実戦機会で技術、体力にさらに磨きをかけます。
そして来年2月1日から始まる2017年の春季キャンプ。「挑む」というチームスローガンの下、改めてタイガース正捕手レースのスタートが切られます。ハードで過酷な争いが繰り広げられる中で、一回りも二回りも成長した坂本選手の姿が見られることでしょう。