過去のユニフォームを調べていると、復刻したら面白いだろうと思えるユニフォームに少なからず遭遇する。2010(平成22)年にセ・リーグが企画したイベント、「GREAT CENTRAL」~オールドユニホームシリーズ2010~で阪神タイガースが着用した濃紺のユニフォームもそのひとつだった。
藤村富美男、別当薫、土井垣武、本堂保次、後藤次男、金田正泰、安居玉一などを擁し、史上最強と謳われた大阪タイガースの「ダイナマイト打線」。その強力打線が猛威をふるっていた1948(昭和23)年に登場したのが、俗に「黒いユニフォーム」といわれる、この濃紺色のユニフォームである。
しかし、上下とも紺色というのは見た目がいかにも重い印象だ。果たして格好良く仕上がるのか、完成したユニフォームを見るまで楽しみな半面、心配でもあった。
だが、実際に復刻ユニフォームを着てプレーする選手を見ると意外に格好良く、素材のせいか見た目に重い印象もなかった。さらに全身紺色に包まれた選手たちからは迫力も感じられた。8月25日の広島東洋カープ戦ではダイナマイト打線を彷彿とさせる球団新記録の22得点で大勝。このユニフォームを着用した6試合は4勝2敗とまずまずの好成績を残した。
これに気を良くしたのか、翌2011(平成23)年の交流戦でもこのユニフォームを再び復刻する。その昔、ストッキングは数種類を使い分けていた。10年はグレーと紺の縞を復刻したが11年は黄色と紺の縞の復刻になった。
鳥谷敬選手は「昨年この歴史のあるユニフォームに袖を通して戦った時、当時の名プレイヤーの方々の魂が乗り移ったかのようにチームの打線に火が付きました。“平成のダイナマイト打線”を今年も復活させて、皆で栄冠を勝ち取りたいと思います」とコメントしている。しかし結果的には10勝14敗で12球団中の8位。交流戦で毎年強さを発揮するパ・リーグ相手に“平成のダイナマイト打線”は不発に終わった。
なお11年も1軍だけではなく2軍もこの復刻ユニフォームを着用した。
5月22日に交流戦が始まる1軍よりひと足早く、5月17日のファーム交流試合が11年版「黒いユニフォーム」のお披露目となった。
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